「なぁ、ちゃん?」
コタツに入ってぼんやりとしていたに、たまりかねた悟浄が声をかけた。
今は11月の上旬だというのに、気温は11月下旬並み。
寒いのが苦手なは、悟浄の家へやってきてすぐ、コタツを押し入れ奥から掘出してきた。
それを組み立てて、現在暖をとっている。
まさかコタツを出す為だけに来たはずはない。
本当は悟浄の誕生日をお祝いするつもりだった。
出さなきゃよかった。
コタツを出す為に開けた押し入れの中で、詰め込まれたプレゼントの数々を見つけてしまったから。
だからかなりへこんでいる。
悟浄とは友達以上恋人未満の微妙な関係。
女性関係の派手な悟浄に、どうしても気持ちを伝えることが出来ないでいた。
一番傍にいるから、悟浄が優しいのは知っている。
もし恋人になったとしたら・・・絶対に浮気なんてしない。
それも解る。解るけど・・・
「ちゃん?」
「・・・帰る。」
これ以上ここに居ると無意識に涙が出てしまう。
胸が苦しい。
驚いた悟浄と目をあわさないように立ち上がり、カバンを掴んで玄関に向かった。
胸が痛い。
ぐしゃりと潰されたカバンには、悟浄への誕生日プレゼントが入っている。
今の私と同じ。
資格もないのに、嫉妬して、醜く潰れてる。
本当、痛いよ。
「待てって。」
「帰る。ついてこないで。」
「そんな状態で帰せるかっての。」
強く引っ張られた腕。
次の瞬間にはたくましい胸に抱き締められていた。
ズルイ。
・・・ずるい。
なんでそんなに余裕なの?
嫉妬してる自分が醜くて、悔しくて。
抑えきれなくなった涙が頬を伝った。
「放して!」
「ダ〜メ。泣いてる女放せるわけねえだろ?」
「好きでもないのに、優しくしないで。」
「悪いけど、俺そんなに器用じゃないんだわ。」
力強く抱き締められると、涙も声ももう抑える事が出来なくなった。
悟浄の胸を叩きながら己の感情をぶつける。
みっともなくても、不様でも、もう殺す事の出来ない感情。
嫌われるならそれでもいい。
伝えないまま終わるなんて、悔やんでも悔やみきれないから。
「悟浄なんて嫌い。嫌いよ。」
「あぁ。悪かった。」
「本当に・・・嫌い。ゴジョなんて・・・」
「あぁ。」
涙に濡れる瞼に、頬に、優しい口付けが降ってくる。
「悟浄の・・・バカ。」
「不安にさせて悪かった。だけどよ?俺も不安だったんだわ。」
「え?」
「の気持ち、知らなかったし。」
「それって」
どういうこと?
続くはずの言葉は悟浄の唇に奪われる。
優しく、そして深く与えられる口付け。
「好きだ。」
「・・・優しい嘘?」
「嘘なんかじゃないって。マジ愛してる。」
角度を変えながら幾度も触れ合う唇と、幾度も交わる視線。
今まで見たことない真剣な眼差しに、悟浄の言葉が真実だと察した。
ようやく涙も止まって、改めて現実だと理解した。
した瞬間、一気に染まる頬。
恥ずかしくて目も合わせられなくなった。
「俺の特別になんねえ?」
「バカ!」
「酷ッ。ゴジョさん今日誕生日なんだけど?」
「知ってるわよ。はい、プレゼント。」
くしゃくしゃになったプレゼントをカバンから取出して悟浄の胸に押し付けた。
そして再び捕まれる腕。
また腕の中に捕らわれる。
「が欲しい。」
耳元で囁かれた次の瞬間には悟浄に抱き上げられていた。
「最高の誕生日プレゼントだな。」
貴方にとっての一番でありますように。
私にとっての一番だから。
これからもずっと一緒にお祝いしましょ。
二人の未来を。
Happy birthday gojyo.
・・・。今年は夢で御祝いです。
オメデト、悟浄。