「背中・・・広いね。」






食事の後、洗い物をしてくれている八戒の背中をぼんやりと眺める。

男の人の背中って、どうしてあんなに広いんだろう。

たくましくて、温かくて、安心する。

あの背中に守られている。

それがとても嬉しくて、心地いい。

そっと近付き八戒の背中に手を添え、身体を寄せる。





「どうしたんですか、。」


「八戒の背中って、安心する。」





小さく呟いて八戒の熱を確かめる。



ずっとこうしていたい。

ずっと一緒に・・・。



そう思ったのも束の間。

いきなり八戒に抱き締められていた。

あまりの事に言葉をなくしていると、優しい声が降ってきた。





「背中もいいですけど、僕としては胸の中に抱きたいですね。」


「・・・。」


「嫌ですか?」



いつもそうやって困らせるんだから。

嫌なわけないって知ってるのに。



「背中と胸と、どちらに守られたいですか?」


「・・・両方。」


「欲張りですね。」



困ったように、それでいて嬉しそうに言う八戒。

が真っ赤になった顔を隠すように八戒の胸に押しつけると、優しいキスが降ってきた。






八戒の広い背中が好き。

八戒の優しい胸の中が好き。

抱き締めてくれるその腕が好き。

八戒のすべてが

――好き







後書き