シュワシュワとグラスの中で弾ける泡。
綺麗な翠の中で揺れている。
テーブルに肘をつきながら、ぼんやりとそれを眺めている。
ソーダ水の小さな泡が紅い粒にベールを作る。
幻想的なグラスの中の空間。
――― ソーダ水 ―――
「何を見てるんですか?」
背後からかけられた言葉に、は頬杖をついていた手を下ろし恋人の八戒を見上げた。
少し戸惑いながらも、はゆっくりと口を開いた。
「八戒に似てるなって。」
柔らかく微笑むに、触れるだけの口付けを落とした八戒はの向かいのイスに腰を下ろした。
が見つめている翠を一緒に見つめる。
「僕に似ていますか。」
「・・・似てるよ。とっても綺麗で、爽やかなところが。」
シュワシュワと小さな泡が立つ。
何も話さず、ただ黙ってグラスの中の翠を見つめる。
静かな空間に唯一の音。
それはグラスの中の泡が弾ける音。
「にも似ていますよ。」
「え?」
突然だけど、優しい音色でかけられた声にグラスに向けていた視線を八戒に向ける。
メガネ越しの翡翠の瞳が柔らかく細まった。
「ほら。そんな可愛い仕草が、このチェリーのようですよ。」
「///もぅ。」
すぐに頬を染める可愛い恋人の姿に、八戒も自然と笑顔になる。
本当に僕はソーダ水かもしれませんね。
弾ける泡のベールで優しく貴女を包み込みますよ。
僕の大切な。
「愛してますよ。」
シュワシュワと弾ける泡。
カランとグラスの中の氷がはぜた。
そんな、ある午後の一時―――