こういった形で表に立たせるのは、少し不本意ですが・・・。

まぁ、お高く買って差し上げましょ?

存分に後悔してくださいネ。









三蔵のマンションを後にした八戒の、次の行動は早かった。
写真のアングルから、撮った場所をあらかた特定し、聞き込みをさせる。
この業界の裏も表も詳しい人物に連絡を取り、本当の事実を探していく。
もちろん、動かしようのない証拠と共に。
急ピッチで進められた事にしては、揃いすぎる程の証拠を手に入れた八戒。
ひとえに、八戒の人脈のなせる業と、こちらのトップに立つ業界でやり手とされ
『神様』とさえ崇められている観世音菩薩の威力だろう。




天界プロダクションの会議室の中に、新聞社や雑誌社の記者たちが勢ぞろいしている。
フラッシュが忙しなくたかれ、質問が矢のように降ってくる。


いい加減にしやがれ!!!!!


と叫べば、どれ程マシになるか・・・。
眉間のシワを増やしながら、三蔵は隣に座る八戒を見た。

「ある程度は質問に答えて下さいね。」

目がそう物語っている。
忌々しげに舌打ちし、その場にいる記者たちを見据えた。


『玄奘さん、姫宮さんとの熱愛は本当ですか!』
『いつからのお付き合いですか?』
『将来は?』


ガタンとイスを蹴って、その場に立ち上がった。


「るせぇ!!!!!!!!!!いい加減にしやがれ!!!!!!!!!!!!!」


『怒るということは、やはり本当なんですね!』



何を勘違いしてやがるんだ、こいつ等は。
ったく、どこぞの記者にいいように躍らせられやがって・・・・。
うぜぇんだよ!



「こんなもん、全部ウソだ。」
『でも、証拠があるんですよ?どう言い訳するつもりですか?』
「ハッ、それこそ如何とでもなるだろうが。」
『では、完全に否定されるんですか?』
「当たり前だ。」



紫暗の瞳でまだ騒いでいる記者たちを一睨みして、三蔵は会議室のドアを開けた。
そこには目を腫らした噂の人物、姫宮桜とそのマネージャーが立っていた。


「後は、お前達の口から真相を言いやがれ!」
「は、・・・はい。」
「分かっていると思うが、証拠は全て挙がっている。」
「「申し訳ありませんでした。」」


深々と頭を下げる二人の横を通り抜け、三蔵は会議室を後にした。
マルボロをくわえ、三蔵はの待つ部屋へ向かった。

あとは、八戒の奴に任せておけばいい。
お前は俺のモンだ、
世間の奴等に思い知らせてやるよ。
























「お〜〜〜〜〜いっ!!何だって俺、最後まで騙されてたワケ?」

紅い瞳が、困ったように揺れながらを見ている。
が口を開くより早く、三蔵が悟浄の前に立ち銃口を米神に押し付けた。
そして、もう一人。
マネージャーの八戒は、の隣でただ穏やかに微笑むのみ。

「テメェに知れたら手ぇだすだろおが!」
「当たりまえっショ?こんないい女ほっとけねえって。よりによって何で俺より、こんな鬼畜坊主なわけ?」

ガチャっと安全装置の外れる音がして、三蔵の指がゆっくりと引き金をひきかける。

「死ぬか。」
「・・・イエ、スイマセンデシタ。」

さすがの悟浄もそれ以上言い返せるはずもなく、ガックリと項垂れてしまった。

「まあ、そういうことだ。」
「ええ。そういうことですから、悟浄。」
「ねえ。八兄、・・・・・・僕帰ってもいい?」
「いいですよ。送りましょう。」

そう言って笑う八戒の笑顔には、きっと誰も勝てやしないだろう。


















「なあ、なあ、!!コレ見ろよ!!」

次の日、朝からクラスの大半の話題は玄奘三蔵との事で持ちきりだった。
ああ、後可哀想とは思わないが姫宮は干された。
これも、三蔵より怖い八兄を怒らせたのと『神様』にたてついたからだと思っている。


「でもよぉ、って俺らと同い年?!」
「なあ!びっくりだよな。」
「はぁ〜〜〜。でも、やっぱりこっちが本命か。」
「・・・お前ら、受験生のセリフじゃないよ。」

勉強そっちのけで三蔵との話をするあたり、もうガックリって感じで。
溜息混じりにもその記事を覗き込んだ。
三蔵の隣で顔を紅くしながら写っているのは、紛れも無く自分で・・・・・・。

「でも、羨ましいよな。」
「だよな!」
「羨ましすぎるって!婚約だぜ?!婚約!」
「夢見過ぎだって。」

トリップしていきそうな友人の頭を小突くもう一人の友。

「いやいや、お前ら現実見ようよ。」
「「「「見れません。ってか、何とかなるって。」」」」
「・・・。ならないだろ。さすがの受験ばかりは。」


明らかに開き直る彼ら。
まあ、今に始まった事ではないのが、彼らの前向きな性格。
でも、学校のテストじゃないんだから・・・。
なるようにならないのが現実だったりする。
僕だって最近ヤバイかもしれないと思うようになった。
俺様な方からの急な呼び出しのせいで、最近よく早退している。
たとえ、学年首席でもコレばかりはどうしようもない。

悩んでるに、聞こえてきたのは校内放送のアナウンス。
担任教師からの直々の呼び出しだった。
友人4人の哀れむ目に見送られながら、は職員室へ向かった。



これで早退の事だったら・・・・・・、恨んでやる!!
僕の昼休み返せっ!!











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