まさかまた逢えるなんて思わなかった。

八戒先生、神様って本当にいるんだね。





ようやく見つけた。

今度こそ、その手を離さねぇ。

八戒。お前の呼び出しに、たまには感謝してやるよ。





X'masの天使





病院からの帰り道、突然背後から声をかけられた。
走ってきたのだろう。少しあがった息遣いで「おい」と呼ばれた。
最初は自分じゃないと思って歩き続けていたら、急に肩に手が置かれた。
驚いて振り替えってみると、いつかの雪の日に会った金糸の髪の神様がいた。


「・・・うそ。神様だ!」
「くくっ。俺が神なら、お前は天使だな。」


そう言った後、神様は私の手を取ってもときた方へ歩きだした。
夢でも幻でもなく、捕まれている手から温もりが伝わってくる。


うそじゃない。
本当に逢えた。


奇跡でも起きない限り逢えないと思っていたから、とても嬉しかった。
連れていかれたのは、先程が渡ってきた横断歩道。
その路肩に一台の深紅のスポーツカーが停まっていた。
神様に促されるまま助手席に乗った後、神様は運転席へ滑り込み車を走らせた。
暫らく走ったところで、神様が口を開いた。


「名前は?」
です。あの、神様・・・。」
「玄奘三蔵だ。」
「玄奘さん。」
「三蔵でいい。それよりメシはまだか?」


そう言いながらチラッとに視線を向けた。
その一瞬に、紫暗の瞳と蒼い瞳が互いに交わった。
視線を逸らすかと思っていたが、逆にふわっと雪のような淡い笑みで俺を見た。


「メシ、何でもかまわねぇな。」
「はい。」


俺のことを神様と呼んだのは、が初めてだ。
鬼畜生臭坊主などと、よく悪態をつくヤツはいるがな。
初めて会った時から引かれていたその表情。
俺に媚びてこないその態度に、改めて俺自身がに引かれている事を知った。


































郊外の洒落たイタリアン料理店へ入り食事をした。
三蔵は食事の間に、気になっていた事をすべて聞き出した。



何故、あんな雪の日に。

――12月の頭に、あんなに雪が降り積もっていたのが珍しかったから。

何故、あの公園で。

――家から一番近かったから。

何故、空を見上げていたのか。

――天使か神様が降ってこないかな・・・って思ったから。


「で?降ってきたのか。」
「神様に、三蔵に逢えた。」
「そうか。ならお前は俺のモンだ。」
「えっ・・・と・・・?」


あまりの事で、言葉が続かない。
三蔵の言葉が理解出来ない。
出会ってすぐに、そんな事を言う人には見えないのに。


からかわれてるのだろうか?


戸惑いながら視線を合わせると、三蔵は口角を上げてこちらを見ていた。


「からかってます?」
「冗談なんぞ言わねぇ。」
「それって・・・、彼女になれと。そういう事ですか?」
「ああ。ちなみに、お前に拒否権はねぇからな。」


やっぱり神様はいるんだ。

は満面の笑顔を三蔵へ向けた。

それが返事。

の想いだから。





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