X'masの天使





食事の後、三蔵はを自分のマンションへと連れ帰った。
の住んでいるマンションからは電車で一駅離れているところだった。
30階建ての高層マンション。
オートロックを解除して、エレベーターで向かうは最上階。
外観も内装も、物凄く豪華なモノで、は改めて息を呑んだ。
それに気付いたのか、三蔵がの手を掴んだ。

「逃げんじゃねぇぞ。」
「・・・はい。」



辿り着いた最上階にはドアが一つしかなかった。
そのドアをカードキーで解除し、三蔵はを中へ入れた。
の後ろでドアがゆっくりと閉まる。
三蔵が振り返り、の身体を挟むようにドアに両手をついた。

。」


もう離さねぇ。

やっと逢えたんだ。

おまえは―――


三蔵はの桜色の唇に己を重ねた。
啄ばむような口付けから、自ずと深いものになっていく。
戸惑っているの唇を舌で押し開き、口内を犯した。
逃げようとする舌を絡めとり吸い上げると、水音が静かな玄関に響いた。
の力が抜けてズルズルと崩れ落ちそうになるのを三蔵が腰に手を回して支える。
一度重ねていた唇を離し、軽く口付けてから、乱れた息遣いをしているを抱きかかえ寝室へ連れていった。

着ていた白いコートを脱がせてベットに沈める。
三蔵も自分のコートを脱ぎ捨てて、の上へ覆いかぶさった。
そしてゆっくりと口付ける。

「・・・ゃあ。」

小さな抵抗の声があがる。
そんな声すら愛らしくて、深くを求めた。
が、腕の中のは少し震えていた。
唇を離し、そっと顔を覗き込むと、きつく閉じられた瞼に涙の雫が溜まっていた。

「・・・イヤなのか。」

その涙を指で拭いながら声をかけた。
ふるふると首を横に振る
まさか・・・と思い、三蔵がの頬に手を這わせた。
ギュッと閉じていた蒼の瞳がゆっくりと開き、そこに三蔵を映し出す。
涙で濡れているので、瞳の中の三蔵も揺れていた。

・・・お前、初めてか?」

三蔵の言葉での頬が一気に色付いた。
それに満足した三蔵はそっと額にキスをした。

「心配するな。」
「でも・・・三蔵ってもてそうだから・・・・・・。」
だけだ。俺の一生を賭けてお前を愛してやる。」

涙が止めどなく溢れた。


こんな事、言われたことがなくて。

自分が恋愛なんてするはずないって思ってた。

彼氏が出来るより先に、もう死んでるって思ってた。

だから今、この瞬間が夢みたい。

頬を伝う涙を三蔵が唇でそっと拭ってくれる。

夢じゃないその感覚。



「さ・・・んぞ・・・私も・・・私・・・の一生、三蔵にあげる。」


どれくらいの時間が残っているのか分からないけど。

限られた時間を全て三蔵の為に。

私の全てを・・・受け取って下さい。











再び三蔵が唇を重ねてくる。
舌を絡ませる濃厚な口付けにの力が抜けていく。
それを待っていたかのように、三蔵の手がの服にかかった。
優しくキスをしながら、ゆっくりと服を脱がせていく。
服の下に隠れていた肌は、白くて滑らかな雪のようだった。
の柔肌に己の印を刻んでいく。
首筋から胸元へかけて、幾つもの紅い華が咲いた。

「あっ・・・」
。」
「さんぞ・・・、夢じゃないよね?」
「ああ。俺はここにいる。」

それを確かめるようにの腕が三蔵の首筋に回った。
ただそれだけのことが愛しくて。







三蔵自身、人を愛する日がくるなんて思ってもみなかった。

恋愛に不器用で。

それでも言い寄ってくる女を抱いたこともあったが、愛に変わるものはなかった。






けれども、あの日

あの場所で

に出会ってから俺の中で全てが変わった。

のことが頭から離れなかった。

もう一度逢いたい。

俺のものにしたい。

が欲しい。


「手放すつもりはねぇからな。」
「はい。」

誓いに似たキスをかわし、互いが互いを求めあった。








優しく、時に激しく。

三蔵が

が三蔵を

互いに確かめるように愛し合った。

今からも

これからも

永遠に

離しはしない



俺だけの天使・・・ってのも、悪かねぇな。





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