ふと鼻に付く雨の匂いにつられて窓辺に歩み寄った。
ポツ ポツ と聞こえてくる雨音に、心が揺れた。
どうして?
気付いて・・・。
私は・・・・・・、
――――――私は、
――― blind angel ―――”solitude”
朝は晴れていたのに・・・。
否、晴れだったかどうかは知る事はできないが、突然降り出した雨に誘われるようには外へ出た。
壁に手をついて外に出ると、雨粒は容赦なくその身体を濡らしていく。
それを気に留めずマンションに隣接する公園へと入った。
確か、この辺りにベンチがあるはず。
ゆっくりとこけない様に進んでいくと、前を探していた手にベンチが触れた。
そこに座り、空からの雫に頬を濡らす。
焔に教えてもらった。
先日紫鴛さんに渡した曲の、彼のイメージを。
それはコンサートの時と全く同じ。
私と・・・・・・、同じイメージを持っているのに。
どうして?
兄さんじゃないの?
私はまだ、一人なの?
どうすれば、見つけられるの?
何処に・・・いるの?
「・・・・・・、寂しいよ。」
「ねえ、神様。」
呟いて苦笑する。
神様なんて居ないんだ、と。
光を失ったのに、それに縋るなんて。
孤独だからかな。
心が泣いている。
この雨のように、
止まない、尽きる事の無い雫が心を、頬を濡らす。
この雨のように、流れて融けてしまえばいいのに。
濡れて身体に纏わり付く服が少し気持ち悪かった。
どれ程そこに居ただろう。
10分かもしれないし。
1時間かもしれない。
時間を知らせるものが無いので分からないが、このまま孤独で押しつぶされるのではないかと思った。
そんな時、雨音しか聞こえない空間に変化が訪れた。
ポツ
ポツ
傘に雨が当たる音に気付いて顔を上げた。
見えるはずの無い相手に瞳を向ける。
それでも、それが誰かは見えなくても解った。
「焔・・・。」
「、風邪を引く。」
「ねえ・・・焔。私、・・・わた・・・・・・し・・・・・・。」
しゃくり上げながら焔の胸に飛びついた瞬間、二人が雨に包まれた。
衝撃で傘が落ちたのだろう、パシャンと言う音が耳に届いた。
孤独は・・・・・・・・・もう嫌なの。
ほむら。
助けて・・・。
心の叫びに身体が震える。
嗚咽を漏らしながらも、叫びそうになる声を殺した。
そんなを、焔はしっかりと抱きしめた。
「お前は一人じゃない。俺が居るだろう。」
「でも・・・寂しい。・・・・・・・・・・寂しいの。」
「孤独、なのか?」
「ん・・・。こんなに足掻いているのに・・・、なのに!どうして見つけられないの!?
それとも、私の目が見えないから?だから出てきてくれないの?・・・私って・・・・・・・・邪魔?」
パシャン
「違いますよ。」
焔と違う声が降ってきた。
涙で濡れたのか、雨粒なのか判らない濡れた顔で、紫鴛の方を向いた。
「貴女は、決して邪魔なんかではありませんよ。」
「紫鴛さん・・・。」
「ここじゃなんだ。部屋へ戻ろう。」
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